作品要約
よ。見てみろ、この作品「丹」についてだ。
幾花にいろというペンネーム、もう聞き馴染みだろう。そいつの出す作品には、もう一皮剥いじゃって突き進む獣みたいな興奮さがある。
この「丹」だ。タイトルは短いようで、核心をついている。 何とも官能的、それでいて嫌味が無い。
読めばすぐに、それが生の本質に迫ろうという野心的意図のあるシリーズであることを分かる。名前こそ違えど「秘密」というタイトルは示唆的だ。ココロの中の秘めた想いをすべて体全体で感じ、満たそうとする、痛みの境界線を踏みにじり、熱意を解き放つ人々の物語が次々と登場するのだよ。
ページを開く度に、それは肌と肌を焦がす熱さになる。カラーを駆使した短編に加え、一挙に読みたいほどの充実したラインナップの群像劇だ。
見どころ
激しいシーン、情感が荒々しく駆け巡り、それが人間の尊厳と愛情という最も切実に求められる部分を突く。
これは決して妥協した物じゃない。あらゆる倫理とか道徳などお題目に付き合わない。だからだ、本当に強烈で、目を離せない。これのどこを覗いても全てが刺激的で危険な匂いを放っている。